保釈とは?起訴されずに釈放されるのとはどう違う?

保釈とは?起訴されずに釈放されるのとはどう違う?

芸能人など、有名人が刑事事件で逮捕されるニュースは頻繁に目にするでしょう。
その後しばらくして、釈放されて外に出てくる際に、TVカメラに向かって一礼するのはおなじみの場面です。

「保釈」されたと耳にすることもあるでしょう。
保釈とはなんでしょうか。ただの釈放とは違うのでしょうか。

保釈について改めてご説明します。
どうぞお付き合いください。

刑事裁判の用語は難しい|保釈の位置付けを流れで理解

刑事裁判の流れを理解するのは、なかなか難しいものです。
ここでは被疑者が逮捕されてから、保釈されるまでの、よくあるケースの流れを追ってみます。

実際には、さまざまなケースが存在します。

    • 逮捕/(48時間以内)警察で取り調べ

    • 送検/(次の24時間以内)検察で取り調べ

    • 検察で勾留決定が出され、引き続き留置場に(最大20日)

    • 勾留期間中に検察が起訴決定/被告人勾留も決定。引き続き留置場、または拘置場に(実質無期限)

    • 被告人から保釈の申請

  • 逃亡・証拠隠滅のおそれがないと裁判所が判断した場合、保釈金を支払って保釈が認められる

用語の解説も含めて、さらに詳しく見ていきます。

被疑者と被告人の違い

被疑者(マスコミでは、容疑者と呼ぶ)と被告人と、言葉の区別がつきますでしょうか。
被疑者は捜査段階にある者であり、これが検察によって起訴されると、被告人となります。
起訴というのは「訴訟提起」の意味で、検察官が刑事犯罪の被疑者を、刑事裁判に掛けることをいいます。

そしてこの記事のテーマである保釈とは、被告人を釈放することです。
保釈にも種類がありますが、ここで取り上げるのは「権利保釈」というものです。権利なので、被告人が申請しなければ、裁判所も保釈の決定は出しません。

保釈とは|起訴された被告人を解放すること

保釈されるのは、すでに起訴され、被告人となっている人です。
被疑者が釈放されるケースとは、似ているようでも法的性質は大きく異なります。
被疑者の釈放は、多くは起訴されなかったためです。

いっぽう保釈された人の場合は刑事裁判が待っています。
日本の司法の実態として、無罪になるのはごくまれです。
法律の本来の考え方としては、被疑者か被告人かに関わらず、身柄を拘束、つまり人権を制限するには必要性が求められます。
ですが司法の実態は、これが逆になっています。

多くの被疑者が釈放されないまま起訴され、その後被告人になっても釈放されません。これため確実に刑事裁判が開けるわけです。

保釈には条件がある

被告人が保釈されると、刑事裁判に影響が出ることが考えられます。
証人に圧力を掛けたり、最悪の場合は逃亡したりする可能性もあります。実際、日産会長だったゴーン氏が、保釈後国外逃亡したのは記憶に新しいところです。
そのため保釈には条件が課されます。

後述する保釈金がまずひとつ。
これは、逃亡した場合は没収されます。

それから以下の要件が求められます。

  • 重罪でない
  • 常習犯でない
  • 証拠隠滅や、被害者・証人に圧力を掛けるおそれがない
  • 氏名住所が明らか

さらに、おおむね次の条件を付けられます。

  • 海外旅行または3日以上の旅行をする場合、前もって裁判所の許可を受けること

逃亡を防ぐ趣旨からして当然でしょう。
ただ逆に言えば、許可を得れば旅行にも行けるのです。

保釈の効果

保釈の効果は拘束を解かれ、留置場(または拘置所)から出られるとことであり、これがすべてです。
保釈金を支払ったとしても、自由は実に価値の高いものです。

刑事裁判に影響を与えないのなら、外で何をしていても構いません。ただし保釈を受けたということはすでに被告人なので、この後必ず、刑事裁判が待っています。
刑事裁判に出廷し実刑判決が出て、直ちに刑務所行きとなることも、ごく普通にあります。

ただし実際の刑期から、被告人勾留の期間が差し引かれます。

保釈を勝ち取るには

保釈を受けるためにはどうしたらよいでしょうか。
必要なのは弁護人と、保釈金です。

弁護人(刑事弁護士)がいないと、保釈請求は事実上困難です。
それから、保釈金を用意できないと、保釈は認められません。

保釈は弁護士の活躍次第

刑事事件の加害者(被疑者・被告人)本人は、逮捕から始まる流れに、ただ乗せられるだけで、なかなかものを考える余裕などありません。
気が付くと起訴されている状態になってしまいます。

保釈されるかどうかは、先を見据えて取り組める、弁護人次第と言っていいでしょう。
逮捕後から、早めに弁護人を選任しておくことが重要です。家族が本人に替わって選任もできます。

保釈でお悩みの方は横浜の刑事事件に強い弁護士事務所のあいち刑事事件総合法律事務所に相談することをおすすめします。

保釈金が必要|ただし一時的なもの

最後に保釈金です。
これを支払わないと保釈を受けられないため、被告人の逃亡を防ぐ抑止力となっています。

保釈金の額は、罪状や個人財産の多少により決定されます。
逃亡等で没収を受けない限り、保釈金は最終的に返ってきます。

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